帝王切開後の中絶手術の可否やリスク、費用などについて解説

帝王切開

帝王切開での出産経験のある場合、人工妊娠中絶手術はできるのか、術後の影響など気になる点が多くあるでしょう。

そこで今回は、帝王切開後の中絶手術について解説します。

費用やリスクについてもしっかり説明しますので、ぜひ参考にしてみてください。

帝王切開後の中絶手術

帝王切開を経験している場合、「中絶手術ってできるのかな?」と心配ですよね。

結論をお伝えすると、帝王切開を経験していても人工妊娠中絶手術を受けることは可能です。

ただし、帝王切開によって子宮口が極端に変形してしまった場合や、新生血管ができてリスクが高い場合などは手術が難しくなります。

この時、前回の帝王切開瘢痕部分の状態と現在の胎児の着床部位との位置関係が問題になります。

そのため、現在の妊娠の状態を正確に知ることが大切です。

帝王切開瘢痕症候群

既往帝王切開術後は帝王切開瘢痕症候群という状態の確認が必要です。

これは、帝王切開後に子宮筋層創部が離解して陥凹性瘢痕となり、過多月経や不正出血、月経困難症、続発性不妊症などを発症する症候群を指します。

また、瘢痕部の菲薄化や液体貯留が見られる場合もあります。

帝王切開創と胎児の着床部の位置関係を確認し、帝王切開瘢痕部妊娠の精査が重要です。

帝王切開瘢痕部妊娠

帝王切開瘢痕部妊娠は、帝王切開瘢痕症候群による瘢痕部に胎嚢が着床してしまった状態で、妊娠を続行するには注意が必要です。

帝王切開術は子宮体部下節の横切開になることが多く、切開創の菲薄化が起こっていないかどうかを確認し、胎児の着床部位と切開創の位置関係を確認します。

また、帝王切開している方は、前置胎盤や癒着胎盤を合併しやすい点にも注意が必要です。

初期中絶

初期中絶では、帝王切開瘢痕症候群と帝王切開瘢痕部妊娠がなければ、通常通りの手術対応になります。

特に必要な処置などはありませんので、注意しながら慎重に中絶手術を行います。

中期中絶

中期中絶の場合は、帝王切開瘢痕症候群と帝王切開瘢痕部妊娠がなければ、子宮口・子宮頸管がしっかり開くのを待ち、過強陣痛を避けた上で慎重に胎児を娩出します。

ただし、レアケースで帝王切開瘢痕部妊娠だと判断された場合は、高次病院への紹介の検討が必要です。

帝王切開後の中絶手術のリスク

以前に帝王切開術を受けた場合、子宮口に子宮筋腫のある方は子宮口をじっくり熟してから拡張する必要があるので、手術時間は長くかかります。

手術時間が長くなると、麻酔時間の延長や母体への負担が増え、術中の出血量も多くなる傾向です。

そのため、帝王切開をしていない方に比べて、中絶手術のリスクは高くなります。

また、帝王切開既往のある方は、手術前に術前処置を行います。

これは手術をしやすくするために、子宮頸管内に棒状の器具を挿入し、拡張作用と熟化作用を施すものです。

中絶手術で感じる痛みの大部分はこの前処置での痛みになるので、身体的な負担もかかりやすいといえます。

とはいえ、中絶手術は安全を期して行われますので、そこまで心配を感じる必要はありません。

帝王切開後の中絶手術にかかる費用

帝王切開後の人工妊娠中絶手術の費用は、基本的に通常の中絶手術と同じです。

医療機関によっては、追加で費用がかかるケースもあります。

妊娠週数によって費用は異なり、妊娠11週6日までの初期中絶の場合は10万円から25万円ほど、妊娠12週~22週未満の中期中絶の場合は30万円から50万円ほどになっています。

帝王切開を受けていることによって、料金が高くなることはほとんどありませんので安心してください。

帝王切開後の中絶手術と保険

帝王切開既往があっても、人工妊娠中絶手術は原則として保険が適応されません。

手術費用に関する料金は全額自費の自由診療となります。

ただし、以下の条件に当てはまっている場合は、中絶手術で保険が適用されます。

  • 母体の中で赤ちゃんが亡くなってしまった場合(稽留流産)
  • 妊娠の継続が母体の生命を脅かすおそれがあると判断され、高度の医療知識にもとづいて医師が中絶治療の必要性があると判断した場合
  • 妊娠12週~22週未満の中期中絶の場合

これは、帝王切開既往によらず同じ条件です。

帝王切開後に中絶手術を受ける流れ

帝王切開後の中絶手術は、通常の中絶手術よりもリスクが高い傾向にあるため、より慎重行われます。

ここでは、中絶手術を受ける流れをご紹介します。

診療の予約

人工妊娠中絶手術を受けるか決まっていなくても、ご自身の状態を把握することが重要です。

池袋クリニックの診察は予約なしでも受診できますが、予約していただいたほうがスムーズにご案内できます。

また、予約なしでお越しになる場合は受付時間内のご来院をお願いしています。

医療機関によっては予約が必須の場合もありますので、事前に確認した上で来院してください。

診察当日

診察日は、正常妊娠かどうか、妊娠週数の正確な日数を確認します。

その他にも、最終月経や月経周期、妊娠経験・中絶経験の有無、アレルギーの有無、持病の有無、既往歴、薬の副作用の有無など、一般的な問診が行われます。

この際に、帝王切開既往のある方は、しっかり申し出ておきましょう。

また、中絶手術についてや術後のケアについても担当医から説明があるのでしっかり確認してください。

診察日には術前検査も行われます。

血液検査では、HIV・梅毒・B型肝炎・C型肝炎・血液型を調べ、内診検査で子宮頸部癌検査・淋菌感染症検査・クラミジア感染症検査をします。

診察と術前検査が終わったら、手術日を決定した上で予約をしましょう。

中絶手術当日

帝王切開既往のある方の場合、中絶手術前に術前処置を行うところが多いです。

その後、静脈麻酔を投薬し、痛みがほとんどない状態で手術を実施します。

池袋クリニックでは手術方法に吸引法を採用しており、手術は約10分程度で終わるので眠っている間に終了です。

2~3時間後には歩けるまで回復しているので、安定したら帰宅できるようになります。

まとめ

帝王切開既往がある方でも、人工妊娠中絶手術は受けられます。

ただし、手術の難易度が上がることからリスクも比例して高くなる傾向です。

池袋クリニックでは中絶手術の20年以上の経験があり、難しい手術にも対応しているので安心していただければと思います。

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