中絶の術前処置|痛みや術前処置を行うメリット・リスクも紹介

痛み

人工妊娠中絶は、年間14万件以上も行われている手術です。

手術を受ける上で気になるのが「痛み」の部分でしょう。

中絶手術の前に施す術前処置(前処置)は痛みが強いのか、前処置なしで手術はできるのかなど、気になることも多いと思います。

今回は中絶手術の前処置について詳しく解説します。

中絶手術の術前処置

人工妊娠中絶手術を施す前に、子宮頚管を広げる「拡張作用」に加えて、子宮頚管を柔らかくする「熟化作用」の処置を行うことがあります。

具体的には、子宮頸管内に棒状の器具を挿入し、処置を施すものです。

これらを事前に行うことによって、手術しやすくなります。

特に、分娩の既往歴がない場合は子宮口が硬く狭くなっていることが多いので、妊娠週数や手術方法によって術前処置が必要です。

前処置をするかどうかは、妊娠週数と手術方法や医師の考え方によって異なります。

中絶手術の術前処置を受ける注意点

術前処置で器具を挿入する際に、痛みが生じる場合があります。

挿入時の痛みには個人差があり、一時的に気分が悪くなる方もいるでしょう。

安静にすることで痛みは徐々にやわらいでいきます。

術前処置が必要ない手術方法

日本で行われている人工妊娠中絶手術の方法には、「掻爬法」と「吸引法」の2つがあります。

人工妊娠中絶手術で痛みを感じるのは、子宮頸管を広げる術前処置が原因です。

掻爬法を採用している場合、この術前処置を行う必要があるため中絶手術で痛みを感じやすいでしょう。

一方、手術方法に吸引法を採用している場合、術前処置を行わないため痛みのリスクは低くなります。

また、子宮内膜を傷つけない術式であることからWHO(世界保健機関)で初期中絶手術の世界標準として推奨されています。

池袋クリニックでも、このような理由から手術方法に吸引法を採用しています。

中絶手術の痛みは術前処置によるものがほとんど

中絶手術を受けた人の中に「痛かった」という方がいると思います。

中絶手術は麻酔を投薬した後に行うので、基本的に痛みを感じることはありません。

ですので、中絶手術による痛みの原因のほとんどは、術前処置になります。

日本では、掻爬法を採用している医療機関が多いため、中絶手術が痛かったと感じる人も比例して多くなるのです。

そのため、中絶手術の痛みをできるだけ感じたくない場合は、手術方法に吸引法を採用している医療機関を推奨します。

術前処置を行わない利点とリスク

人工妊娠中絶手術の術前処置を行わない場合、術前の痛みがないことに加え、手術前日に来院し、子宮頸管拡張の処置を施す必要がなくなります。

また、遠方にお住まいの方や妊娠をすでに確認できている方など、手術当日の受診で日帰り・短時間で手術可能です。

術前処置を行わない利点

術前処置を行わない場合、医療器具を挿入する際の痛みを感じることがないので、手術における痛みを最小限に抑えられ、母体への負担も少なくなります。

また、術前処置を行う場合は中絶手術の前日に通院が必要なケースが多いです。

術前処置をしなけば、手術日に来るだけで済むので時間的な負担もなくなります。

術前処置を行わないリスク

中絶手術前の処置は、手術をしやすくするために行われます。

そのため、しないとなると手術方法によっては手術がやりにくくなるケースもあります。

掻把法で中絶手術をする場合は、医療器具が大きいため子宮頚管を前処置で広げておかないと手術が難しく、手術時間も長くなる傾向です。

術前処置なしで中絶手術ができる期間

術前処置なしで中絶手術ができる期間は、妊娠11週6日までの初期中絶です。

また、手術方法が吸引法の場合であれば術前処置なしでできます。

手術方法が掻爬法を採用していると、術前処置を行うことになります。

また、妊娠12週~22週未満までの中期中絶の場合、分娩様式になるため術前処置が必要です。

母体への負担が少ない中絶手術タイミング

母体への負担が少ない中絶手術のタイミングは、一般的に妊娠6週~9週ごろといわれています。

初産婦の場合、妊娠6週未満だと子宮頚管が硬いことが多く、拡張を無理に行うと子宮頚管を傷つけるリスクがあります。

また、子宮の大きさが小さいため子宮内容物の視認が難しく、子宮内容物を残してしまう可能性も高くなるのです。

一方、10週以降は子宮が大きくなり子宮頚管の硬さもやわらかいですが、胎児が大きく成長しているため子宮内容除去術は難しくなります。

難しい中絶手術になると手術時間が長くなり、身体にも負担が大きくかかりやすくなるので要注意です。

子宮頚管がやわらかく、子宮の大きさもある程度大きくなっていることから妊娠6週~9週ごろがよいとされています。

まとめ

中絶手術の術前処置は手術をしやすくするために行われます。

一般的に、手術方法に掻爬法を採用している場合や中期中絶で術前処置は行い、吸引法を採用している場合は行うことが少ないです。

個人差はあるものの、術前処置は痛みを感じます。

一時的に気分が悪くなる方もいますが、安静にしていれば治るので安心してください。

身体的な負担を考えると、術前処置はないに越したことはありません。

吸引法を採用している医療機関であれば、術前処置がなく、手術時間も短く済むのでおすすめできます。

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