子宮内避妊リング

子宮内避妊リング(IUS:intrauterin sysytem)は、黄体ホルモンが付加された、新しいタイプの子宮内避妊リングです。この避妊リングは、現在世界中で約600万人の女性が使用しております。

従来のリングと同様、子宮内作用に留置することによって受精卵の着床を防ぐという効果に加え、LNGの持つピル作用が加わり、子宮内膜増殖抑制作用、子宮頸管粘液粘度増加作用、精子運動性阻害作用を併せ持つ子宮内避妊リングです。

その結果、従来以上の高い避妊効果があるといえます。
またLNGの作用により、徐々に出血量も減るため、月経困難症や子宮筋腫の方の過多月経のコントロールも期待できます。

有効期間(交換期間)は5年になります。

保険適応

子宮内避妊リングは「過多月経」や「月経困難症」でお困りの方は保険適応にて装着可能です。
避妊目的では保険適応となりません。月経に有効な選択肢の一つとして、量が多くて毎月つらい思いをされている方や貧血に悩んでいる方はご相談ください。
※当日装着はできません。感染症の検査後に挿入します。検査結果により装着できない場合もあります。

初回診察/検査費用(保険)4,000円程度
装着費用(保険)11,000円程度

※保険診療ですので、参考価格です。状況によりその他金額が発生する場合があります。

自費診療費用

避妊目的の方の装着や、保険適応外の方は自費診療になります。

処置費用99,900円(税込)

※相談料/処置料、外す際の費用が含まれてます。

その他費用(希望者オプション)

局所麻酔処置費無料

◆一般の外来で診察室にて対応します
◆局所麻酔(子宮頸管傍ブロック)なので注射時に少し痛みが発生しますが、挿入時の痛みが軽減されます。※歯医者での麻酔時のような痛み
◆通常分娩の経験がある方は、こちらの麻酔をしなくてもあまり痛みを感じずに挿入できる可能性があります。※局所麻酔を行った場合、無駄に麻酔の痛みを感じてしまうかもしれません。
◆初回診察時に局所麻酔の有無は医師にご相談ください。

静脈麻酔(無痛)処置費50,000円(税込)

◆眠っている間に装着し、装着後は回復室にて麻酔の回復まで横になって頂きます。
◆来院から帰宅まで2~3時間程度かかります。

子宮内避妊リングの作用

子宮内避妊リングは子宮内膜に作用することで内膜が薄くなり、受精卵の着床(妊娠の成立)を妨げます。また、子宮の入口の粘液を変化させて、精子が腟の中から子宮内に進入するのを妨げたりすることで、避妊効果を発揮します。避妊効果だけではなく、過多月経や生理痛の緩和にも有効です。

子宮内にのみ黄体ホルモンが作用し、子宮内膜(生理のときに剥がれ落ちる膜:受精卵が着床するときに必要な膜)の成長を抑えることにより、生理の出血を少なくし、生理痛も軽くなります。

使用している方の20%は、生理の出血が1年以内になくなるといわれています。子宮にしか作用しませんので、ホルモンのバランスは体の中で保たれます。避妊率は99.9%と高く、OC(低用量ピル)のように飲み忘れによる失敗がありません。

子宮内避妊リングは黄体ホルモン単剤なので、OC(低用量ピル)の副作用の一つである血栓症のリスクもなく、高血圧の方、乳がん術後、肥満傾向の方、喫煙している方にも使用することができます。

挿入後、数ヵ月間(約3ヵ月)は月経時期以外に出血が続くことがありますが、通常は日数の経過とともに消失しますので心配はいりません。また、体重が増えることもありません。

従来の子宮内リングの比較(利点)

今までの子宮内リングは、子宮内膜に異物を留置することにより、受精卵が着床しないようにするという作用で避妊を期待していました。

欠点としては、異物を挿入することによる子宮内膜炎や骨盤腹膜炎の増加のリスク、月経量が多くなることによる月経困難症の悪化等があったため、よほど低用量ピルが合わない方以外には僕自身あまりお勧めすることはありませんでした。

ところが今回のIUSは、子宮内に異物を留置することには変わりませんが、LNGの作用により子宮内膜炎等の発症リスクも減少し、一番のポイントは出血量が減少することになり、月経困難症や過多月経のコントロールになる点です。

従来は3年程度で交換をお勧めしておりましたが、今回は5年間かけて徐々にLNGが放出される為、交換期間が5年後と有効期間も長くなっています。

子宮内避妊リング(IUS)のメリットとデメリット

子宮内避妊リングのメリット

厳密なことをいうと、低用量ピルは卵胞ホルモンと黄体ホルモンの合剤です。

IUSは子宮内にのみ黄体ホルモンが作用します。ここが薬理作用として違う点になります。IUSは子宮内にのみホルモン作用があるので、OCで気になるむくみや吐き気、頭痛などの内服薬ならではの副作用が出にくくなっています。

また黄体ホルモン単剤なので、低用量ピルで危惧される血栓症のリスクもなく、高血圧や肥満傾向の方、喫煙している方に使用しやすいという点がメリットです。

そして、毎日服用するわずらわしさから解放され、どうしても低用量ピルが体に合わない方にはぜひおすすめします。

一度装着をすると5年間有効であり、最初の1年以内にほとんど出血がなくなり、無月経になる方もいます(卵巣は機能しているので更年期になることはありません)。生理のわずらわしさからも解放されます。

子宮内避妊リングのデメリット

最初の12ヶ月程度に少量の持続する不正出血が出現しやすいことがあります。体に害や支障はありませんが、慣れるまではわずらわしいかもしれません。挿入時は軽い痛みを伴うことが予想されます。

原則は外来で数分で装着可能です。ただ、希望の方には半日入院で全く痛みのない麻酔を併用しながら挿入も可能です。

低用量ピルと比較して、子宮筋腫や子宮腺筋症の出血量コントロールはありますが、卵巣癌予防や子宮内膜症の進行抑制は低用量ピルの方が優れています。

最初の不正出血だけが一番の問題かなと思っております。慣れてしまえばなんてことはありませんが、こればかりは挿入してみないとわかりません。

避妊リングへの所感

低用量ピル(OC)に続いて、女性のQOLを高める商品が認可されたなという印象です。

どれが一番優れているという事はいえませんが、どれが一番適しているかを考えるのが大事です。日本は選択肢の幅が狭すぎるという状態です。OCもIUSも避妊以外の様々なメリットに期待出来る作用がたくさんあります。

避妊リングは、出産経験のある無いに関係なく試す事が可能です。5年間有効ではありますが、妊娠希望が出たら除去する事により、すぐ妊娠する事が可能です。

当然妊娠や胎児に影響はありません。お気軽にご相談ください。