妊娠中絶薬は使えるの?特徴や日本で認められていない理由を解説
人工妊娠中絶は、年間14万件以上行われている手術です。
これだけ手術が行われている一方で、「中絶用の薬って使えないのかな?」と思う方もいるかもしれません。
薬を使って簡単に中絶できるのであれば、そのほうが良いと思うのもわからなくありません。
そこで、妊娠中絶薬の特徴や人工妊娠中絶手術について今回は解説します。
中絶薬の効果とリスク
妊娠状態を維持するために必要なプロゲステロンと言われる女性ホルモンの働きを、妊娠中絶薬を服用することで抑えられます。
妊娠中絶薬を服用後、2〜3日経過した後に子宮収縮作用のある薬を服用し、子宮内容物を排出させます。
これらの一連の流れによって、中絶が成立するというわけです。
しかし、妊娠中絶薬を服用しても子宮内容物の排出が完全にできていなかった場合、人工妊娠中絶手術を受ける必要が出てきます。
子宮内容物が子宮内に残ってしまうと、合併症やトラブルを引き起こす原因になりかねません。
具体的には、大量出血や腹痛、発熱、感染症、基礎体温の上昇、つわり症状、胸のはりといった症状が持続します。
妊娠中絶薬は比較的低価格で購入可能かもしれませんが、正しく中絶できなかった場合医療機関へ受診・手術する可能性もあるため、余計な負担が増えることになります。
中絶薬が日本で認められていない理由
妊娠中絶薬は日本での購入・使用が許可されていない薬です。
認められていない理由の一つに「母体保護法」が挙げられます。
母体保護法では、母体保護法指定医以外の医師が堕胎すると自己堕胎罪に当てはまり、1年以下の懲役が適用されると定められています。
そのため、仮に妊娠中絶薬を使えるとしても、母体保護法指定医の診断や経過観察が必要です。
当然、日本では妊娠中絶薬は未認可の薬ですのでこのような使用方法もできません。
また、妊娠中絶薬の安全性における問題点も、認められていない理由に挙げられます。
妊娠中絶薬は、母体への身体的な負担が大きい薬になっており、多くの場合で痛みの強い腹痛に加えて2週間ほど出血が続くことになります。
このような副作用が報告されており、中には大量出血から意識を失い、命を落としてしまうこともあり得るのです。
妊娠中絶薬の成功率は92〜98%とされていますが、人工妊娠中絶手術の成功率が100%に近いのに比べると、5%前後の失敗率はかなり高いという判断になります。(参照:公益法人社団 日本産婦人科医会)
これらの様々な理由から、日本では妊娠中絶薬の使用を認めていないというわけです。
経口中絶薬が2021年内を目処に承認
最新の情報によると、経口中絶薬を国内で治験した結果、93%が想定の時間内に薬だけで完了し、有効性・安全性が確認された報告されています。(参照:NHK NEWSWEB)
2021年内を目処に、国内初の中絶薬として国に承認の申請をする見通しです。
2021年7月現在はまだ認可されていませんが、今後は中絶薬による中絶も普及していくでしょう。
人工妊娠中絶手術を受ける流れ
日本では中絶を行う場合は、母体保護法指定医による人工妊娠中絶手術を受ける必要があります。
ここでは一般的な人工妊娠中絶手術を受ける流れを確認しましょう。
医療機関への診察予約
池袋クリニックの場合は予約なしでも受診できますが、一般的には予約をして来院したほうがスムーズにご案内できます。
また、予約なしで来院する場合は受付時間内に足を運ぶようにしましょう。
人工妊娠中絶手術を検討している場合は、できるだけ早い段階で医療機関を受診するのをおすすめします。
というのも、中絶する・しないに関わらず、現在の身体の状態を確認しておくことが重要だからです。
診察当日
診察当日は、今回の妊娠が正常妊娠かどうか、妊娠週数の正確な日数を確認します。
その他にも、最終月経や月経周期、妊娠経験・中絶経験の有無といった問診が行われます。
問診の中で疑問に思う点や心配な点があれば、しっかり担当医に確認しておきましょう。
また、中絶手術や術後のケアについても説明があるので、安心していただければと思います。
診察日には術前検査も行われます。
術前検査によって、中絶手術におけるリスクを最小限に抑える効果が期待できます。
血液検査では、HIV・梅毒・B型肝炎・C型肝炎・血液型を調べ、内診検査で子宮頸部癌検査・淋菌感染症検査・クラミジア感染症検査をします。
診察と術前検査が終わったら、手術日を決定した上で予約をしましょう。
中絶手術当日
人工妊娠中絶手術は静脈麻酔を投薬し、痛みがほとんどない状態で手術を実施します。
池袋クリニックでは手術方法に吸引法という方式を採用しており、手術は約10分程度で終わるので、眠っている間に終了します。
2~3時間後には歩けるまで回復しているので、安定したらその日に帰宅可能です。
まとめ
海外では、妊娠中絶薬による中絶が一般的に普及していますが、日本では許可されていない中絶方法です。
認められない理由には、副作用の危険性や失敗率が高いことなどが挙げられます。
中には個人で妊娠中絶薬を購入し使用している方もいるようですが、これは非常に危険な行動です。
日本では、母体保護法指定医による人工妊娠中絶手術を受ける必要があります。
中絶における知識や経験の深い医師によって、身体の状態や安全性の高い中絶手術を施します。
ご自身の身体の状況をしっかり把握するためにも、できるだけ早い段階で医療機関を受診してみてください。