中絶手術のリスクや注意点

リスク

中絶手術の際に、何か注意することはあるのか疑問に思っていませんか?注意点やどんなリスクがあるか知っておくことで、不安をしっかり解消可能です。

そこで本記事では、中絶手術のリスクや注意点について解説します。手術後の過ごし方についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

中絶手術するリスク

中絶は、まれではあるもののリスクが伴う手術です。そのため、事前にどんなリスクがあるのか知っておくことで、いざという時に適切な対応が取れます。

中絶手術の主なリスクは下記の通りです。

  • 出血
  • 感染症
  • 繊毛遺残
  • 子宮頸管裂傷
  • 子宮穿孔

それぞれについて簡単に説明します。

出血

中絶手術の合併症として大量出血が挙げられます。しかし、大量出血はほとんどの場合起こることのないリスクです。大量出血が引き起こされる要因として、以下のものがあります。

  • 子宮頚管の損傷
  • 血液凝固障害
  • 子宮穿孔

多少の出血はよくある術後の症状ですが、大量の出血が続くことはほとんどありません。通常であれば、出血は数日ほどで減っていきます。

感染症

クラミジア感染を発症していると、中絶手術によって骨盤腹膜炎や腹膜炎などの症状を引き起こすリスクが高くなります。

事前検査でクラミジア感染が発覚した場合、抗生剤を投与することでリスクを低減させます。感染症が発症した場合には、発熱や子宮の痛みなどの症状が引き起こされます。

感染症が発症している、もしくは発症している可能性が高い場合には、適切な抗生剤の投与が必要です。

また、中絶手術は清潔な手術室で行い、殺菌消毒を適切にした器具を使用することで、感染症のリスクを最小限にします。

繊毛遺残

繊毛遺残とは、中絶手術ですべて取り除く必要のある組織を、一部取り残してしまった状態です。経験豊富な医師でも起こしやすいリスクと言われています。

特に、子宮奇形・子宮疾患などで子宮に変形や圧迫がある場合、リスクが高いです。

術後の診察で内診を行うことで、遺残防止に努めている病院が多いです。

子宮頸管裂傷

子宮頸管裂傷(しきゅうけいかんれっしょう)は、子宮頸管の一部が裂けてしまうことです。

子宮頚管を急に拡張してしまったり、未熟なドクターが器具の取り扱いでミスしたりすることで起こる場合が多いリスクとなっています。手術直後に症状がでない場合もありますが、次の妊娠時に子宮頚管無力症を発症する可能性があるため、注意が必要です。

子宮頚管裂傷のリスクを低減させるために、日本産婦人科医会やWHOでは急激な頸管拡張を避ける事前処置を推奨しています。そのため、事前処置を施してくれるクリニックだと安心できるでしょう。

子宮穿孔

子宮穿孔(しきゅうせんこう)は、子宮に穴が開いてしまう合併症です。子宮穿孔はほとんど起こることがないため、リスクは低いと言えます。

妊娠中の子宮はとても軟らかくなっているため、穴が開きやすい状況下で中絶手術を行います。そのため、100%起こらないとは言えないのです。

万が一、子宮穿孔が発生した場合は、クリニックで適切な処置を行います。

中絶手術の注意点

中絶手術は、先ほど説明したリスクに加えていくつか注意しておくべき、知っておくべき点もあります。ここでは、中絶手術の注意点を見ていきましょう。

中絶手術後には、以下のような不快な症状が現れることがあります。

  • 痛み
  • 出血
  • 気持ち悪さ・ぼんやりする症状
  • めまい・頭痛
  • ムカムカする・嘔吐の症状
  • 逆行性健忘
  • PTSD(心的外傷ストレス)

順番に確認しましょう。

痛み

手術後は、3日〜1週間ほど生理痛くらいの痛みを感じるケースがあります。この痛みは、手術後に子宮が元のサイズに戻ろうと収縮することで発生しています。

回復に伴う痛みではあるものの、強い痛みの場合は回復を妨げてしまうので、麻酔覚醒後に痛みが強い場合は申し出てください。必要に応じて、痛み止めを追加するなど症状を和らげるようにします。

出血

手術リスクの部分で、大量出血が起こる可能性があることをお話ししました。それ以外の少量出血の場合、7日〜10日ほど生理時のような出血が続きます。

出血量には個人差がありますが、出血が多い場合も大抵は数日で出血量が減るので安心してください。

気持ち悪さ・ぼんやりする症状

中絶手術で使用する麻酔によって、気持ちが悪さやぼんやりする症状が発生することがあります。人によっては、帰宅後もしばらくこの症状が続くこともあります。

ほとんどの場合、気持ち悪さやぼんやりする現象は翌朝には治まっています。もし症状が続く場合は、クリニックに相談してください。

めまい・頭痛

麻酔が効きやすい方の場合、めまいが起こりやすい傾向にあります。とは言え、多くの方に出る症状ではなく、発症しても覚醒後30分ほどで治ってくるでしょう。

手術後にはふらつきや頭痛が出る可能性があるので、当日の運転は危険です。できれば付き添いの方に迎えに来てもらい、帰宅後は安静にし、回復に努めてください。

ムカムカする・嘔吐の症状

手術後にムカムカしたり、吐き気を催したりする場合もあります。クリニックによっては、嘔吐症状の出にくい麻酔薬を使用しているところもあります。

もし、吐き気を感じる場合は術後の飲食をしばらく控え、体調が良くなってから飲食してください。

逆行性健忘について

逆行性健忘は、麻酔投薬後のことを忘れてしまう症状で、手術後しばらくの間、話をしたのに覚えていない状態などに陥るケースがあります。ごくまれにしか起こらず、大抵は30分くらいで解消します。

不安に感じると症状が発症しやすくなるため、症状はすぐに回復することを事前に知っておくことが大切です。

PTSD(心的外傷ストレス)について

中絶手術によって発症する可能性があるのが、心の病気であるPTSDです。特に、中絶手術で感情抑圧により発症したPTSDは「PAS(中絶後遺症候群)」と呼ばれています。

池袋クリニックでは、安全な手術・適切な対応をすることはもちろん、中絶後のアフターケアもしっかり行っています。

不安な点や気になる点など、ぜひお気軽にご相談ください。

中絶手術後の過ごし方

最後に、中絶手術をした後の過ごし方について確認しましょう。

適切な過ごし方を知っておくことで、不快な症状の発症を抑えられ、よりリスクを低減できます。ぜひ参考にして少しでも不安を取り除いてください。

手術後は安静にする

手術が終わって帰宅したら、最低でも当日と翌日は安静にしてください。当日は麻酔の影響が少なからず残っているため、多少ぼんやりすることもあります。翌朝には麻酔が切れて症状が安定し、出血や下腹部痛も改善に向かうはずです。

子宮が元に戻るまでは2週間ほど、ホルモンバランスが戻るまでは1ヶ月ほど時間がかかります。術後から1週間は激しい運動や立ちっぱなしでの作業、力仕事などは避けるようにしてください。

入浴について

手術当日からシャワーを浴びるのは大丈夫です。ただし、湯船に浸っての入浴は、感染症予防の観点からおすすめできません。1週間後の検診を受けて、医師に許可をもらってから入浴しましょう。

あわせて、温泉やサウナ、プールは術後1ヶ月くらいは控えてください。

飲酒について

体調に問題なく、出血がなくなっていれば飲酒も可能ですが、過度な飲酒は1ヶ月ほど控えましょう。

運動について

運動に関しては個人差がありますが、ジョギング程度の軽い運動であれば1週間後には可能です。運動量の多いスポーツや競技として行っている運動は、3週間程度は避ける必要があります。

生理の再開

安定した生理周期の方は、手術後1ヶ月~1ヶ月半で再開します。生理不順の方の場合は、再開が遅れることも。

注意点として、手術後最初の生理は量や期間、痛み、色などが以前と異なる場合があります。何度か生理が来るにつれて元に戻っていくので、安心してください。

性交渉について

中絶手術後の性交渉については、以下の条件などを満たしている場合に可能です。

  • 中絶手術から2週間以上が経過している
  • 出血や痛みが完全になくなっている

手術直後から妊娠可能な状態になるので、避妊が必要になります。

池袋クリニックでは、手術と同時に子宮内避妊リングを挿入できる技術をもっていますので、避妊希望の場合はぜひ検討してみてください。

また、手術後1週間以内の低用量ピル服用もおすすめしています。

これは避妊目的はもちろん、ホルモンバランスの崩れを正常な月経周期へ回復させることや、子宮内膜が回復しやすくなる効果が期待できるからです。

まとめ

中絶手術は、発生は少ないもののリスクや注意点が存在します。

当院では手術前に事前の説明を徹底しておりますが、もし気になることや不安なことがあれば、いつでも相談してください。

今回は中絶手術後の過ごし方についても紹介しましたので、参考にしてください。

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