中絶費用に保険は適用されない?適用されるケースとあわせて解説

保険

いろんな事情から人工妊娠中絶手術をすることを決め、手術にまつわる不安や疑問があるでしょう。

人工妊娠中絶の手術費用は妊娠週数と病院によって異なり、通常であれば健康保険や生命保険のような保険は適応されません。

しかし、保険適応となるケースもあるので、ここでは中絶費用の保険適用についてしっかり確認していきましょう。

中絶費用と保険について

原則として、人工妊娠中絶手術は保険が適応されません。

通常は手術費用に関する料金は全額自費の自由診療となるからです。

そのため、術前の超音波検査、HIVや淋菌などの感染症検査、血液検査などすべてを含めて自費で支払うことになります。

その一方で、中絶手術で保険が適用されるケースもあるので確認しましょう。

中絶手術で保険が適用されるケース

中絶手術で保険が適用されるのは、以下の3つのどれかに当てはまる場合です。

  • 母体の中で赤ちゃんが亡くなってしまった場合(稽留流産)
  • 妊娠の継続が母体の生命を脅かすおそれがあると判断され、高度の医療知識にもとづいて医師が中絶治療の必要性があると判断した場合
  • 妊娠12週~22週未満の中期中絶の場合

中期中絶手術は妊娠11週6日までの初期中絶と比べて費用負担が大きいため、健康保険に加入している方であれば出産育児一時金の支給対象になります。

しかし、経済的な理由による人工妊娠中絶の場合には保険の適応にはならないので注意しましょう。

中絶手術で保険が適用されないケース

保険は初期中絶の望まない妊娠だと適応されません。

検査費用や手術費用などの金額すべてを自己負担する形となります。

そのため、レイプなどの性被害によって妊娠し、中絶するケースも望まない妊娠に当てはまるので医療保険は適用されません。

ただし、性被害による中絶の場合は「性犯罪被害者への医療費に係る公費負担制度」が利用できます。

中絶手術と保険証

中絶手術では、保険が適用されないケースが多いため、その点で保険証は不要と言えます。

しかし、念のため中絶手術を受ける場合であっても保険証を持っておくのがおすすめです。

というのも、術前検査で子宮筋腫、貧血など治療が必要な保険適応の疾患が見つかった場合、混合診療にならない範囲で保険が適用される場合があります。

また、本人確認の際にも使えるので、持参するのを推奨しています。

特に、中期中絶で「出産育児一時金」の適用を受ける方であれば保険証の提示が必須です。

中絶手術の費用

人工妊娠中絶手術は、妊娠週数によって妊娠11週6日までは「初期中絶」、妊娠12週~22週未満は「中期中絶」と分けられます。

費用の目安として、初期中絶の場合は10万円から25万円ほど、中期中絶の場合は30万円から50万円ほどかかるので覚えておきましょう。

中期中絶になると、手術操作の難しさもあり手術費用は初期中絶に比べて高くなります。

これらの費用を自費で払うことになるので、手術を受ける前に費用を用意しておく必要があります。

医療機関によっては、クレジットカード払いや分割払い、リボ払いに対応しているところもありますので、このような制度を活用するのもいいでしょう。

費用面での負担を抑えたいと考える場合は、初期中絶を受けるのをおすすめします。

母体保護法に基づいた中絶費用は医療費控除の対象になる

所得税法207条によれば、母体保護法指定医が母体保護法に基づいて妊娠中絶を行った場合の中絶の費用は、医療費控除の対象になります。

母体保護法は、母体の生命・健康を保護することを目的とした人工妊娠中絶、不妊手術に関する法律のことです。

つまり、妊娠の継続によって母体に危険を及ぼす可能性がある場合や、経済的な理由で出産難しいといった正当な理由があれば、母体保護法指定医に限って医療費控除の対象となる中絶を行えます。

中絶費用で医療費控除を受けるためには、中絶手術を行う医療機関で領収書をもらう必要があります。

医療機関で手術を受ける前に、必ず領収書を発行してもらえるかどうかは確認しておきましょう。

また、未成年者であれば親の同意を得た上で中絶手術を行う必要もあります。

中絶手術で高額医療費制度は使える?

高額療養費制度とは、月初から月末までにかかった医療費の自己負担額が高額な場合、自己負担限度額を超えた分が後から払い戻される制度です。

なお、所得によって負担限度額は異なります。

高額療養費制度は保険適用される診療が対象なので、基本的に人工中絶手術は高額医療費制度の対象にはなりません。

しかし、先に述べたような母体保護法に基づいた中絶費用になると、保険診療の対象になります。

まとめ

人工妊娠中絶は、原則として健康保険が適応されません。

しかし、母体保護法に基づいた中絶費用であれば保険が適用されますので、ご自身の状況にあわせて医療機関に相談してみてください。

このような点からも、中絶手術を受ける際は保険証を持っておくことをおすすめしています。

その他に不明点がある場合は、中絶手術を受けようと思っている医療機関にしっかり確認してみてください。

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